夫婦としてのイベントをやり終えた夫婦が「卒婚」を選ぶケースが増えてきました。
卒婚とは何か、どんなメリットとデメリットがあるのか、どうやったら卒婚ができるのかなどを紹介します。
離婚ではないけれど、もう現役夫婦とも少し違う、そんな卒婚も今後の選択肢の1つとして検討してはいかがでしょうか?
目次
卒婚とは?!離婚とは違う?!
卒婚とは「夫婦関係を卒業する」という意味ですが、厳格な定義はありません。
籍は入れたまま、夫婦がお互いに干渉せずに自由に過ごす形態を「卒婚」と呼ぶことが多いです。
完全に別居しているケースもあれば、同居しているケースもあり、冠婚葬祭などは一緒に出席している夫婦もいます。
「卒婚しました!」と宣言する場合もあれば、しない場合もあります。
離婚ほど手続きや世間体を気にする必要はありません。
卒婚はおもに子育てを終えた夫婦や老年期を迎えた夫婦がすることです。
ただし、子育て真っ最中の女性でも、卒婚を目指し貯金に励んでいるケースも多々あります。
卒婚したい女性の割合と年代は?!
30~50代の既婚女性50人にアンケートに協力していただきました。
約3割に当たる16人が「将来的に卒婚したい」と回答しました。
時期は子どもが独立をした50~60代以降を希望する人が多かったです。
「離婚するほどではないけれど、子育てが終わったら家事や夫の親戚関係から解放されたい」という声が目立ちました。
卒婚のイメージに「自由」や「解放」を抱いている女性が多いようです。
卒婚のメリット7選
卒婚のメリットがこちらです。
1.戸籍にバツがつかない
卒婚の場合、戸籍はいじりません。
バツイチにはならないので世間体を保てます。
同居のまま卒婚する場合は、周りに知られることもありません。
周囲や子どもに説明せずに、夫婦関係を卒業できます。
法律上は夫婦なので、税金や社会保険などの恩恵も受けられる可能性があります(責任も生じますが)。
2.夫の面倒をみなくて済む
女性の場合、卒婚したい理由の1位が「夫の面倒をみたくない」です。
夫婦2人きりの生活になったあとも、退職したあとも、家政婦のように夫の世話を焼く日々から開放されます。
夫の世話だけでなく、夫の親の世話も卒婚で回避しやすいです。
自分が友達と遊びに行くとき、一々夫に伺いをたてる必要もありません。
自分のぶんだけ布団を干し、洗濯をし、食べたいものを食べられます。
3.復縁の可能性が残る
離婚すれば復縁は難しいですが、卒婚は戸籍の変化が無いので復縁もしやすいです。
卒婚をきっかけに、お互いの関係性を見直しより円満になるパターンもあります。
夫婦ではなく、友達やお互いに人生を歩んだ戦友として新たな関係を築くのも新鮮ですよ。
お互いに義務から解放されたからこそ「当たり前のようにやってもらっていたこと」に改めて感謝できる場合もあります。
卒婚は離婚を回避する手段の1つです。
4.経済的変化が少ない
離婚すると扶養の義務はなくなります(養育費は子どものためのお金なので扱いは別)。
しかし婚姻関係が継続している場合、収入の少ない側は生活費を受領できる可能性があります。
ただし、絶対にお金がもらえるとは限りませんし、満足できる額でない可能性もあるので期待しすぎはいけませんが…。
とはいえ同居や近距離別居での卒婚ならば相談次第で車や家電を共有できるでしょう。
配偶者控除の恩恵も受けられます。
5.遺産を相続できる
卒婚は戸籍がそのままなので、夫が先に亡くなった場合の遺産の相続権があります。
共有財産も維持できるので同じ家に住み続けることも可能です。
ただし、負の財産もあるかもしれません。
サブスク関係も停止しないと大変なことになります。
卒婚して長いと、夫の経済状況を把握するのが難しいので注意しましょう。
6.自分の時間を大切にできる
いままで仕事、育児、家事に追われ、自分の時間を作るのが難しかった女性も多いでしょう。
卒婚で自分のためだけに時間を使ってください。
趣味に没頭したり友達と旅行に行ったり、あるいは何にもせずにぼんやりするのもアリです。
卒婚すれば、「夫の面倒を見る時間」をそのまま自分の時間にできます。
家族へ費やしてきた労力と時間が多いほど、卒婚したいと思う女性が多いようです。
7.苦手・嫌いな夫と距離を置ける
好きで結婚したはずなのに、いつの間にか苦手・嫌いな存在になることもあります。
コロナ禍に入り、夫が毎日家にいることで夫婦関係に亀裂が入った話はあるあるです。
「コロナ結婚」より「コロナ離婚」が多いことから、どちらもずっと家にいる状態は仲たがいしやすいことが分かるでしょう。
卒婚すれば夫と物理的・精神的に距離を置けるので楽になれます。
適切な距離を取ることで改めて夫の良さが見えてきたり優しく接することが出来たりする場合もあります。
卒コンのデメリット3選
卒婚はいいことばかりではありません。
デメリットも知っておきましょう。
1.夫の同意を得づらい
卒婚は法律的な取り決めがなく、知名度自体も高くありません。
「卒婚」という言葉すら知らない人も多いです。
夫に卒婚の意味を理解してもらうところからスタートする場合もあるでしょう。
さらに夫側にもメリットがないと卒婚への同意は難しいです。
「もうあなたの世話はしない。でも生活費は払ってね」という要求を妻にいきなりされても、夫は困惑します。
2.細かい取り決めが必要
完全に夫婦関係を解消するわけではないので、細かい取り決めが必要です。
たとえば
- ・婚外恋愛の可否
- ・介護や入院が必要になった時
- ・お墓問題
- ・生活費や財産の配分
など、結婚する時以上に取り決め項目が多いかもしれません。
同居しながら卒婚する場合は「完全に自由に」が難しいので、お風呂や洗濯機の使い方などを改めて取り決める必要もあるでしょう。
またルールを決めても、いざスタートしたら不具合が生じて再交渉が必要な場合もあります。
場合によっては普通に結婚生活を継続する以上に話し合いが必要かもしれません。
3.自分が生活費を支払う場合も
配偶者よりも自分の方が高収入の場合、あなたが配偶者に生活費を支払う必要があります。
完全に家族としての役割を終わらせたいのならば、卒婚よりも離婚がおすすめです。
とはいえ、これまでも配偶者を扶養していた場合は経済的な世話以外からは解放されるので、メリットがあるかもしれません。
卒婚にとどまる場合と、離婚に踏み切った場合のメリット・デメリットを自分なりに棚卸する必要があります。
卒婚するには?!事前準備4つ
卒婚成功のためには準備が大切です。
1.夫や家族の同意を得る
卒婚の認知度は低く、理解を得るのが困難な場合もあります。
いきなり卒婚を切り出すのではなく、折を見て子どもが巣立った後や定年後の生活について話しましょう。
時間をかけて自分の希望を具体的に伝えておくと、卒婚がスムーズにいきます。
「卒婚」という言葉を出さず、「別々に暮らしたい」「お互いに干渉せずに、同居人のようなスタイルで暮らしましょう」などと伝えるのも良いでしょう。
夫の方も「趣味部屋が欲しい」「気ままに一人旅をしてみたい」など、要望を教えてくれる場合もあります。
自分の理想の卒婚スタイルを語るだけでなく、夫の希望もヒアリングしておくと、ルール決めの時の有力な交渉材料になりますよ。
2.細かい要望をまとめておく
卒婚の取り決めは紙に書き出しておくとスムーズに進められます。
お金関係、同居か別居か、婚外恋愛についてなど、まずは自分の要望をまとめておきましょう。
相談して決まったことも書き出し、分かりやすくまとめてください。
口頭で話すだけだと、言いたいことを言えなかったり細かく決められなかったりします。
卒婚には配偶者の理解と納得が欠かせません。
認識が違うこともあるので、いろいろと条件や考えを共有しましょう。
卒婚が初耳の配偶者の場合、「妻が家事を放棄したいだけ」と捉えられる可能性もあります。
3.新居を探す
別居したい場合は住まいを確保しましょう。
卒婚を言い出す際に、新居の目星がついていると、夫に本気度が伝わりやすいです。
新居の家財道具を用意していると、卒婚後の生活が楽しみになります。
同居しながらの卒婚の場合は「自分の部屋」をしっかりと作りましょう。
寝室が同じでは「卒婚」しても、いつの間にか夫婦に戻っています。
冷蔵庫やポットなどはできるだけ自分専用のものを持ち、管理するようにしましょう。
洗濯機は共有しても洗濯は各自するようにし、お気に入りの柔軟剤を使うなどすると、「自由」を感じることができますよ。
4.仕事を見つける
生活費が心もとなくなりそうならば、仕事を見つけましょう。
お金があれば、もっともっと自由になれます。
どんな生活をしたいのか、それにはいくら必要なのかを考え、仕事を探しましょう。
もちろん、十分な蓄えがあったり既に働いていたりするのならば、必要ありません。
しかし、配偶者から生活費をもらうスタイルでの卒婚を望んでいるのならば自身も収入源を確保しておいた方がいいです。
配偶者が資産や収入を失い、生活費を渡せなくなる可能性は十分にあります。
5.断捨離する
別居を伴う卒婚ならば、荷物をまとめるついでに断捨離を行いましょう。
終活も兼ねられます。
同居のまま卒婚ならばなおさら物の整理は大切です。
「このバケツ、邪魔だから捨てていい?」「乾電池のストック場所を教えて欲しい」などというやり取りをしょっちゅうしていては卒婚になりません。
卒婚に夫が同意しなかった時は?!
卒婚に夫の同意が得られなかった場合の対処法を紹介します。
1.弁護士へ依頼する
離婚だけでなく、卒婚に介入してくれる弁護士もいます。
法的拘束力のある生活費の取り決めなどを交わしたい時におすすめです。
口約束だけでは信用がおけない、なかなか卒婚の取り決めが上手くいかないなどというときはプロを入れるとスムーズになるでしょう。
弁護士にも得意分野・不得意分野があるので、卒婚の実績があるところを選んでください。
2.条件面を妥協する
金銭面や婚外恋愛など、卒婚に関わる条件を交渉すれば、応じてくれるかもしれません。
100%自分の意思を通そうとすると、難航します。
配偶者が「この条件だったら…」と受け入れられるものを提示しなければ話は進みません。
相手の立場になって考えてみましょう。
「卒婚」という言葉自体が新しく「卒婚する場合、〇〇する(しない)のが普通」というものはありません。
同居しつつもシェアハウスの住人のように暮らしている人もいれば、完全に別居してお金のやり取りさえない人もいます。
3.離婚する
卒婚に理解や同意が得られないのならば、いっそのこと離婚もアリです。
中途半端に卒婚しても、結局なんやかんやとやり取りが発生し、なぁなぁになってしまいかねません。
それくらいならば財産をきっちり分け、縁を切って楽になってはいかがでしょうか?
現状維持、卒婚、離婚のそれぞれのメリット・デメリットを書き出してみると、自分が何を目指すべきか見えてきますよ。
まとめ:卒婚は離婚を回避する手段の1つ!正しく活用して自分の人生を生きよう
籍は入れたまま、結婚生活を卒業する「卒婚」にはさまざまなメリットがあります。
家族に尽くす人生を変えたい、もっと自由が欲しい、そんな願いを持っているのならば、今後の生き方の選択肢の1つとして検討してみましょう。
夫婦の新しい関係を築いていける可能性がありますよ。