別居しているけれど離婚はしていないという夫婦は、実は多く存在するのです。
なぜ、離婚せず別居を続ける夫婦が増加しているのでしょうか?
今回は、離婚しないで別居をするメリットやデメリット、別居する時に決めておくべきことなどを徹底解説します!
目次
別居婚とは?夫婦が別居する2つの形
別居と言っても離婚に繋がる別居だけではありません。
「別居婚」という言葉があるとおり、別居状態で結婚生活を始める夫婦もいるほど。
ここでは、夫婦が別居する2種類の形について紹介します。
前向きな夫婦別居
仕事の事情や子供の学校など、様々な事情により別居している夫婦がいます。
離れて暮らしたくないけれど、夫婦で話し合い家族の為に別居を一時的に選択しているので、目的が終わったら元の生活に戻ることを基本としています。
お互いの生活や価値観を尊重し、より良い生活スタイルを求めている夫婦に多いです。
どちらも前向きな夫婦別居となります。
離婚に向けた夫婦別居
- 喧嘩ばかり
- 不倫や生活リズムの違い
- DVやモラハラ
- 義理の親との不仲
など、夫婦仲も悪く離婚を視野に入れた別居をしている夫婦もいます。
離婚を片方が渋っている場合や、とりあえず一旦距離をおいて考えたいなど理由は様々です。
別居は離婚に向けてのカウントダウンとも言われているので、もし離婚まで考えていない場合は、よく考えてから別居をスタートさせましょう!
夫婦が別居する場合と離婚する場合の違い
同じ家に住んでいないので、別居と離婚は同じようだと思う人も多いですが、それぞれ違いがあります。
別居と離婚の違いを詳しく解説します。
生活費が請求できるか
別居しても法律上の婚姻関係は解消しないので、夫婦で経済面を助け合う義務があります。
そのため、収入が少ない方は、パートナーに「婚姻費用」の名目で生活費を相手に請求可能です。
しかし、不倫など不貞行為があった場合は、別居となる原因を作ったとされ、生活費の請求ができない場合があります。
ただし、子どもがいる場合は、不貞行為とは別で考えられ、養育費の請求は認められます。
離婚が成立すると生活費の請求はできなくなり、養育費のみの請求となるので注意しましょう!
公的サービスを受けられるか
別居では、基本的に公的サービスを受けることはできません。
夫婦の相談窓口や、DVの相手から逃げるシェルターなどを利用することはできます。
離婚をしてひとり親になると、様々な公的サービスを受けることができるので、離婚をしたら手続きをお忘れずに。
児童扶養手当や税金面での控除など、離婚して初めて受けることができる支援となります。
子どもの親権
別居の場合は、離婚をしていないので、夫婦で共同して親権を持つ「共同親権」となります。
しかし、離婚が成立した場合、夫婦どちらかの片方が親権を持つ「単独親権」となります。
親権をどちらも譲らない場合、調停や裁判で争うことにもなりかねないので、離婚する前にしっかり話し合っておく必要があります。
会社からの補助を受けられるか
会社からの家賃補助や家族手当などの補助は、別居中は家族と見なされ受けることができます。
しかし、離婚するとそれらは全て受けることができなくなります。
また、健康保険の扶養に入っていて、別居していても定期的に生活費を仕送りしている場合、扶養認定を受けることができます。
こちらも離婚すると扶養認定は取り消され、自分の勤務先の健康保険や国民健康保険に変更する必要があります。
夫婦が別居婚の選択肢をとるメリット
別居はダメなことばかりではありません。
別居婚をすることにより、得られるメリットをご紹介します。
別居だからうまくいく夫婦もいる
別居してお互いに離れると、冷静になり考える時間ができます。
時間をおくと、心境の変化もうまれ相手のことを好意的に見れるようになってきます。
ワンクッションおくことで、お互いに相手の大切さや良いところが見えてきて、もう1度一緒にいたいと思うきっかけになるかもしれません!
離れてみて初めて自分にとって相手がどれほど、大事な存在かわかるはずです。
生活が自由になる
別居をすると「ご飯を作らないと…」「家に帰らないと…」というプレッシャーが減り生活が自由になります。
今まで喧嘩ばかりだったけれど、別居して相手と良い関係を築くことができる夫婦もいます。
お互いが納得すれば、週末だけ一緒にいたり、時々会って楽しい時間を共有する別居婚も選択肢の1つです。
離婚に有利になる
離婚したいのに相手が応じてくれない場合、別居しておくのは有利になります。
法律上、夫婦の間に「婚姻を継続し難い事由」が認められる場合、離婚が請求できます。
別居は、婚姻関係が破綻している事由の1つとして考慮されます。
別居してすぐは離婚の原因となりませんが、別居期間が長くなると、有利に離婚を進める材料となります。
世間体が保てる
離婚ではなく別居の場合、「夫や妻の両親が体調を悪くして実家に帰っている」などの言い訳がたち、世間体を保てます。
離婚となると、引っ越ししたり、職場でも名字が変わるなど、すぐにバレて噂や悪影響を持たらしてしまうことがあります。
しかし、別居は周囲に聞かれても理由をつけられるので、世間体を守るために離婚しない夫婦も多いです。
夫婦が別居婚の選択肢をとるデメリット
次に別居婚のデメリットを紹介します。
デメリットも考慮して、別居するかどうか決めましょう!
出費が増える
別居することにより住居や光熱費、食費など出費が倍になります。
子どももいて学費や自分達の老後資金など、様々なお金を考慮すると、別居により出費が増えることはデメリットです。
目先の生活だけでなく、先の人生も考えてから別居するようにしましょう。
配偶者に何かあったら助けなければいけない
夫婦には「お互い助け合い、同じレベルで生活できるようにする」扶助義務があります。
別居していても夫婦ですので、相手が病気やケガをした場合、面倒を見る義務があります。
また、相手が職を失い金銭面で困っている場合。
今まで自分が生活費や養育費の請求をしていたけれど、立場が逆転してまい、相手に対して生活費を払う義務が発生してしまいます。
もし相手に対して気持ちがなければ、助け合うことが苦痛になってしまうかもしれません。
いい出会いがあっても不倫になってしまう
別居中に素敵な出会いがあっても離婚していなければ、浮気や不倫となり再婚することもできません。
相手に対してまったく愛情がなければ、別居ではなく離婚しないと、再婚のチャンスを逃してしまうことになります。
良い出会いは人生の中で、たくさんあるわけではないので、タイミングを逃さないようにしましょう。
浮気や不倫の証拠がつかみにくくなる
もし相手が不倫をしている場合、別居は証拠を集めてからすることをおすすめします。
不倫しているようなパートナーと一緒に暮らすことは苦痛かもしれませんが、一緒に暮らしているほうが、証拠を集めやすく相手の行動も把握しやすいです。
LINEや電話のやりとり、カードの履歴など、集めれるだけ証拠を集めてから別居に踏み切るようにしましょう。
別居婚が向いている夫婦の特徴
どんな夫婦に別居婚は向いているのでしょうか。
積極的に別居婚を検討してほしい、夫婦の特徴を紹介します。
経済的に自立している
経済手系に自立している夫婦は、別居婚におすすめです。
紹介したとおり、別居婚をすると2倍の生活費がかかります。
どちらかが経済的に自立していなければ、その負担はかなりのものになるでしょう。
大抵女性の方が稼ぎが少ないケースが多いので、女性が経済的に余裕があれば別居婚を検討しても良いでしょう。
家事能力がある
互いに家事能力があるかどうかも重要です。
経済面とは反対に、男性に家事能力がないケースが大半。
家事ができずに普通の生活もままならず、別居婚を後悔するケースは少なくありません。
一人暮らしの経験が長い男性なら、一人でも家事ができると思うので大丈夫でしょう。
相手を想う気持ちが残っている
相手を想う気持ちが残っているのであれば、別居婚という選択肢をとっても問題はないと言えます。
相手を想う気持ちがなければ、別居した時点で戻る気持ちが薄れてしまい、別れる方向にどんどん気持ちが傾くからです。
「旦那と同じ空間にいるのが苦痛!一刻も早く一人で暮らしたい」という場合、もはや相手への気持ちがないはず。
このような場合、離婚を前提に別居婚をするのはアリですが、婚姻状態を継続したいのであればなしです。
相手への気持ちがあるのであれば、まずは一緒に暮らしながら関係の修復に努めましょう。
夫婦が別居婚を始める際に決めておくこと
別居する前に、決めておくべきことを紹介します。
次のことを決めておけば、別居する時に困ることが少ないです。
別居にきちんと合意しているか
お互いに別居に対して合意していれば良いですが、片方だけが別居したい場合があります。
この場合、相手の同意を得ず勝手に出て行ってしまうと、同居の義務を放棄したとみなされ、相手から慰謝料を請求される可能性があります。
しかし、DVなど相手の暴力が酷くて逃げる場合は、事情が認められることが多いです!
正当な理由がない場合は、夫婦で話し合うことが重要です。
住む場所を決める
自分が出ていく場合、まずは住む場所を決めましょう。
実家に戻る人も多いですが、仕事や家庭の事情により難しい人もいます。
その場合、引っ越し費用や家賃、光熱費などがかかってきます。
別居後にかかるお金も計算してから、出ていくように注意しましょう。
連絡先を伝えるか決める
互いが納得して別居婚を始めるなら、住所や連絡方法など決めておいたほうが良いです。
しかし、DVやモラハラなどで別居する場合は伝えないほうが良いでしょう。
相手に伝えてしまうと、せっかく逃げても追ってきて家に連れ戻されてしまう可能性が高いです。
DVやモラハラから助けてくれる機関もあるので、周りに頼ることも必要です。
どの共有財産を持ち出すか決める
別居をする際、夫婦で築いた共有財産は2人で分割することになります。
しかし、相手の許可なく家具などを家から持ち出したり、預金を勝手におろす行為はしてはいけません。
後々のトラブルにも繋がるので、夫婦で財産分与をどうするかなど別居する前にしっかり話し合いましょう。
話し合いの内容を文書にも残しておくほうがトラブルになりにくいです。
住民票を移すか決める
別居をし、家を出ていくことになると、住民票を移すのか決めなくてはいけません。
夫の単身赴任などで、一時的に別居している場合は住民票を移す必要はありません。
しかし、離婚を前提とした別居や離婚を考えている場合、住民票は移したほうが離婚が認められやすいです。
また国民健康保険の場合は、別居して住民票を移し世帯が分かれてしまうと、女性は別居先で新たに国民健康保険に加入しなければなりません。
さらに、別居して住民票を移すと、相手の遺族年金は受け取ることができないので注意しましょう。
子どもの環境を整える
別居する上で子どもの環境を整えることは、とても重要です。
金銭面で苦しくなってしまうことが多いので、それまで子どもがしていた衣食住や習い事、学校の選択肢が狭まってしまいがちです。
保育園や幼稚園、学校に変更がある場合は早めに手続きを済ませ、子どもにもきちんと説明しておきましょう。
別居や離婚は親の都合なので、出来るだけ子どもの生活レベルが落ちないような配慮をすることが大切です。
離婚する場合は期間を決める
だらだらと長く別居を続けると、婚姻費用の減額や離婚の際に不利になる可能性がでてきます。
別居が長引くにつれて理由をつけ婚姻費用を減額したり、離婚に踏み切るかもしれません。
長期の別居は婚姻関係が破綻していると見なされる可能性が高いので、片方が拒んでも離婚原因になり得ます。
また、別居期間が長いと、夫婦の同居義務・協力義務に違反していると見なされることも。
「悪意の遺棄」を理由に夫婦の離婚原因を作った者とされてしまい、離婚の際に不利になることもあるので覚えておきましょう。
夫婦で円満な別居婚を続けるためのポイント
最後に、円満な形で別居を続けるポイントを紹介します。
連絡を欠かさずとる
円満な関係を続けたいなら、連絡は欠かさず取りましょう。
連絡を取り続けることで、今の相手の現状を理解できます。
連絡を全く取らなければ、どんどん相手への気持ちが冷めていくでしょう。
最低でも1日1回は連絡を取るようにすると、負担にならずに連絡を続けられるのでおすすめです。
定期的に会う機会を作る
定期的に会う機会を作ることも不可欠です。
やはり実際に会う機会を作ることが、相手への興味や関心を持ち続けられる良いきっかけになります。
子どもがいる夫婦の場合、子どもを相手に会わせることを目的にするのがおすすめ。
子どもへの愛着もさらに深まるので、円満な夫婦生活を今後も続けやすくなるでしょう。
相手を信頼する
相手を信頼する気持ちも重要です。
別居すれば、当然相手がどんな風に過ごしているのかわからず、相手の心情なども把握しにくくなります。
相手の気持ちが分からずに、不安になってヒステリックを起こす女性は少なくありません。
別居婚は相手への信頼が基に成り立つ行為なので、まずは相手を信頼することから始めましょう。
夫婦で別居婚を始めるならまずは自立して
離婚せずに別居するには、様々なメリットとデメリットがあります。
別居するには、お互いに自立することが大切です。
離婚したいから別居をするにしても、相手に頼っていると、生活面でも不安定になり、いつまでも状況は変わりません。
まずはお互いに自立して、少し距離を置き冷静になった上でもう1度話し合ってみましょう!