熟年夫婦になると、新婚当時や子育て時代とは夫婦関係が変わってくるものですよね。
夫婦として過ごした時間が長くなったからこその悩みを持ち、そこから離婚することも増えています。
夫婦の関係を改めて見直してみると、よりよい関係や人生を作っていけるでしょう。
夫婦ごとに心地よいと感じる距離感や関係があるので、世間体や思い込みに囚われすぎず、2人だけの形を探してみましょう。
目次
熟年夫婦とは何か
熟年夫婦とは、子育てがひとひと段落したり定年退職を迎えたりした世代、主に50代・60代以降の夫婦を指します。
必死になって子育てや仕事、住宅ローンの返済に追われるような月日は終わりを迎え、穏やかな時間を過ごします。
このように聞くとイメージがいいですが、実際には大きなミッションもなく、夫婦2人で長時間過ごすことに戸惑いを覚える人も多いです。
熟年夫婦の悩み
一緒に過ごした月日が長いからこそ、熟年夫婦特有の悩みがあります。
良くも悪くも新婚な頃のような勢いがなく、かわりに今まで積み上げてきた様々な思いがあるからこそ、根が深いです。
一緒にいる時間が長すぎてストレス
何十年と連れ添ってきたので関係がマンネリ化しがちです。
新しい話題や刺激もなく、お互いがお互いに飽きています。
定年を迎えるとさらに2人で過ごす時間が長くなってしまい、「何を話していいのか分からない」「視界に入って邪魔、うっとおしい」「つまらない話題ばかり」とストレスの原因となってしまうでしょう。
中には、相手の立てる掃除機やトイレ、テレビなどの生活音が一々気になってしまう夫婦もいます。
自分に関心を向けてくれない
マンネリ化してくる一方で、夫婦であるからこそ相手から興味を持ってもらいたいと思っています。
しかし、相手に興味のない態度をとられたり、感謝の気持ちが薄れてしまいがちになるのも熟年夫婦の特徴です。
「〇〇して当たり前」「夫婦だから何をしても許される」と相手が考えている場合、相手をないがしろにするばかりでなく、暴言や暴力行為すらありえます。
会話がない
子育てが終わり、2人だけになると共通の話題や目標を失ってしまい、コミュニケーションが激減したという夫婦も多くいます。
何を話したらいいのか分からず、またある程度「以心伝心」もできてしまうため、会話がなくなってしまうのです。
そして会話が減るとますます「何を話していいのか分からない」となってしまい、心の距離も広がってしまいます。
自分と相手の親子関係に差がある
熟年夫婦ともなれば、その親も高齢です。
自分の親については過度に大事にするのに、義理の親についてはあまり関心を持たないという悩みを持つ夫婦も増えてきます。
「親の面倒は長男が見るもの」「介護は嫁がやるもの」という押し付け合いや、資産状況、物理的な距離、それまでの関係など様々な事情が絡み合い、お互いが納得する落としどころが見つけられません。
セックスレス
性欲は個人間だけでなく、男女間でも差があります。
男性は比較的高齢になってもセックスに意欲的ですが、女性は閉経を迎えるとホルモンの関係であまりセックスに積極的な気分になれません。
セックスレスが原因で双方に不満がたまり、夫婦の間に溝ができてしまうこともあります。
実は多い!熟年夫婦の離婚率
厚生労働省の人口動態統計によると、令和元年に離婚した夫婦の同居した期間別データは次の通り。
- 5年未満 32.9%
- 5~10年 20.6%
- 10~15年 14%
- 15~20年 11.7%
- 20年以上 20.8%
同居してから20年以上経ってからのいわゆる「熟年離婚」は結婚直後(5年未満)に次いで多くなっています。
片方が亡くなっていれば「離婚」ができないので、これは死別を含めない数です。
昭和60年のデータでは、同居20年以上経ってからの離婚は12.3%なので増加傾向と言えるでしょう。
高齢化により昭和60年よりも熟年夫婦の数自体が増えていて、それに伴う離婚率の上昇と、平成20年から始まった年金分割制度が熟年離婚を後押ししていると言われています。
熟年夫婦は別居婚や週末婚もアリ
熟年夫婦が心地よく暮らしていくためには「変わらぬ愛」よりも程よい距離が必要な場合もあります。
別居婚や週末婚のメリットについて見てみましょう。
冷静に考えられる
顔を合わせていると些末なことが気になってイライラしてしまいがちでも、1人になれば家事の大変さに気が付いたり、寂しさを埋めてくれる存在であったりしたことに気が付ける場合があります。
トイレットペーパーや洗剤のストック管理、何気ない会話のありがたみに気が付くことができるので、相手への寛容さや感謝を抱けるようになるでしょう。
パーソナルスペースが確保できる
自分だけの時間や場所を確保するのは、ストレスの蓄積を回避するのに有効です。
小さな衝突であったとしても、相手の気配がそばにあるとなかなか気持ちの切り替えができません。
イライラが落ち着いたと思っても、相手が大きな音を立てて扉を閉めようものならば怒りがぶり返してきます。
誰にも干渉されない自分だけの場所があると、冷静さを取り戻したり気持ちの切り替えを促してくれたりするでしょう。
会えないからこそ愛情が芽生える
24時間365日一緒にいるよりもたまに会うからこそ、心に余裕ができ感謝の気持ちが生まれやすくなります。
会えないという状況がスパイスになり、愛情の再燃を助けてくれるでしょう。
「久しぶりに会うから」と思えば身だしなみに気合いが入ったり、気の利いた振舞いをしたり、相手を気遣いたくなるものです。
熟年夫婦の新しい形!卒婚とは?
熟年夫婦の中には離婚や別居ではなく、卒婚という関係を選ぶ夫婦も増えてきました。
卒婚の実態、メリット、デメリットなどについて紹介します。
卒婚とは?
卒婚とは、離婚や別居などをしないまま、夫婦が別々の人生を歩む関係を指します。
男女間の愛情はありませんが、憎み合っているわけではなく、お互いに程よく無関心で同居人としての労わり合いはあるという、新しい婚姻の形です。
「夫婦」という関係は卒業しているので、たまに愛情を確かめ合う別居婚や週末婚とは違います。
卒婚のメリット
離婚や別居のように、面倒な手続きや引っ越し作業などをする必要はありません。
保険や年金、不動産関係なども変更しなくて大丈夫です。
また、普段は「同居人」という関係性であっても病気やケガの時には助け合うことができます。
さらに子どもや親戚などにわざわざ説明をしたり、理解を求めたりする必要もありません。
卒婚のデメリット
すでに夫婦としての愛情や実績が全くないのに、法律上の婚姻関係だけは継続したままであることにストレスを感じる人もいます。
相手が入院をしたら「夫婦」なので手続きや世話をしなければなりません。
相手が先に亡くなったら喪主を務め、遺品の整理をする必要もあります。
さらに普段は別々に行動をしていても、冠婚葬祭などは「夫婦」としての振舞いが求められるでしょう。
熟年夫婦が仲良くいるためにはお互いの理解が必要
熟年夫婦は長く一緒にいたからこそ、相手への感謝が薄れ、不満ばかりを持ってしまう人が多くいます。
せっかく子育てや仕事が終わったというのに、相手にイライラして日々を楽しめないのは損です。
熟年夫婦が仲良くいるために必要なのは、お互いへの理解。
そして感謝と寛容さを大切にしていきましょう。
そのためには適度に距離をとることも1つの選択肢です。
相手に何もかもを要求し過ぎず、労わりを持って接する方法を夫婦ごとに考えていきましょう。