信じていた夫や妻に不倫されてしまったら、ショックで悲しみのどん底に落ちてしまうでしょう。
それと同時に怒りや憎しみが沸き、離婚を考える人も多いと思います。
今回は不倫が原因で離婚する時に準備することや、相手への対応、慰謝料など、不倫離婚を考えている方にぜひ知っておいてほしいポイントを徹底解説します!
目次
不倫されたら離婚はできる?
不倫されたら離婚はできます!
しかし、不倫の状況や離婚条件、慰謝料や子供の親権、養育費など、様々なことを話し合いで決めていかなければいけません。
不倫離婚は気力と体力、そして精神的にも辛くなります。
専門機関への相談や信頼できる弁護士を探し、慎重に進めていきましょう。
法律上の不倫
法律上で不倫とは、民法の770条「配偶者に不貞な行為があったとき。」という記載があります。
不貞行為とは、結婚している男女が配偶者以外の異性と肉体関係を持つことを指します。
つまり、セックスしたことを証明しなければ離婚理由にならない可能性が高いです。
「夫が浮気相手とキスをしていた」「妻が知らない男性と腕を組んで歩いていた」というような場合、それだけでは不倫と認定されないことが多いです。
不倫離婚するならば、浮気相手と身体の関係があったことを証明することが大切になってきます!
離婚の件数と離婚率
(参考:人口動態統計)
上記のグラフは、婚姻件数と離婚件数を年次推移で表しています。
青い棒は婚姻件数で、オレンジの棒は離婚件数です。
グラフから見てもわかるように、離婚件数は増加傾向にあります。
1980年の離婚件数は約14.2万件でしたが、2019年には約20.8万件と1980年当時に比べ、約1.5倍になっています。
2002年のピーク時からは少し減少していますが、その分、婚姻件数を減少傾向となっています。
婚姻件数は1980年には約77.5万件でしたが、2019年には約59.9万件に減少しています。
(参考:人口動態統計)
次に離婚率を見ていきましょう。
離婚率とは、離婚が多いか少ないかを比較するときに統計学上使われる数値で、人口1,000人あたりの離婚件数のことです。
厚生労働省により毎年集計されています。
令和元年の離婚率は1.69%で、2002年の2.30%のピーク時からは減少傾向にあることがわかります。
異性関係での離婚率
次に離婚の原因において、異性関係で離婚する率はどれぐらいなのか見てみましょう。
次の表は、裁判所が提示している令和元年の動機別による離婚数を参考にして、各動機が全体に占める割合を調べたものです。
異性関係での離婚率は、15%でした。
この数字は裁判所に申し立てた数字なので、後に説明する協議離婚の数字は含まれません。
そのため、実際に異性関係で離婚している夫婦はもっといると言えます。
<令和元年の婚姻関係事件の申立ての動機別割合>
離婚動機 | 全体 | 夫 | 妻 |
異性関係 | 15% | 13% | 15% |
性格が合わない | 45% | 60% | 39% |
暴力を振るう | 17% | 9% | 21% |
酒を飲みすぎる | 5% | 2% | 6% |
性的不調和 | 8% | 12% | 7% |
浪費する | 10% | 12% | 10% |
病気 | 2% | 4% | 2% |
精神的に虐待する | 24% | 20% | 25% |
家庭を捨てて省みない | 7% | 6% | 7% |
家族親戚と折り合いが悪い | 8% | 13% | 6% |
同居に応じない | 4% | 9% | 2% |
生活費を渡さない | 23% | 4% | 29% |
その他 | 13% | 20% | 11% |
不詳 | 6% | 4% | 6% |
(参考:裁判所司法統計「令和元年、婚姻関係事件数 ー申立ての動機別申立人別ー全家庭裁判所」)
家庭が破綻している場合
不倫がわかっても慰謝料が請求できない場合があります。
それは「夫婦関係が破綻している」ことが明らかな場合です。
例えば、長期間に渡る別居や家庭内別居やセックスレス、性格の不一致、暴力や虐待、DVなどです。
不倫の前から夫婦関係が破綻していると認められた場合、一般的に不倫の慰謝料請求はできないので注意が必要です!
妻や夫の不倫が原因で夫婦関係が破綻したときには、配偶者と不倫相手に対し、離婚の申し立てや慰謝料請求をすることができます。
不倫で離婚!3つのパターン
夫や妻の不倫が発覚し離婚する場合、基本的には話し合いで進めていくことが多いです。
しかし、相手がなかなか別れてくれない場合や話し合っても解決に向かわない時は、裁判によって離婚の条件などを決める方法もあります。
次の3つのパターンを順番に解説していきます!
協議離婚
離婚の多くが協議離婚により成立しています。
お互いに話し合い、慰謝料や養育費、財産分与などを決めていく方法です。
感情的にならず、冷静に話し合うことが大切です。
そして、必ず「協議離婚合意書」を書面で残しておくようにしましょう!
協議離婚合意書とは夫婦で話し合い、取り決めた離婚条件を細かく記載した書面のことです。
離婚が成立した後に「そんなことは言っていない」と慰謝料の支払いを渋ったりしないように、協議離婚合意書は大切な証拠となります。
離婚調停
協議離婚で解決しなかった場合、家庭裁判所による調停制度を利用した離婚調停となります。
離婚調停は、いきなり裁判という訳ではなく夫婦の間に、裁判所の調停委員と裁判官が入り、離婚成立を目指す方法です。
慰謝料や財産分与、親権や養育費など、協議離婚で決まらなかったことを一つ一つ話し合い決めていきます。
調停が成立したら「調停調書」が作成されます。
調停調書は、調停成立時に書記官によって作成され、話し合いで合意した内容が記載されています。
記載した内容は裁判の判決と同じ効力を持つため、内容を守る義務が発生します。
離婚裁判
離婚調停でも決着がつかなかった場合は、離婚裁判になります。
離婚裁判は、夫婦間の主張を裁判官が聴取し離婚を認めるのか、認めた場合の慰謝料や養育費など離婚の条件をどうするのかなどを決めます。
最終的な決定は裁判官による判決となるので、離婚が成立しない場合の最終手段となります。
しかし、離婚裁判には弁護士費用や長い時間がかかるので、精神的苦痛が襲いかかってきます。
家族や友人、専門機関にサポートしてもらいながら、有利な条件になるように最後まで戦いましょう!
不倫で離婚するときに準備をすること
不倫で離婚する時に、準備をしておいた方が良いポイントを解説します!
しっかり頭に入れて、有利に離婚を進めていきましょう。
証拠を集める
離婚条件を有利に進める為に1番大切なのは、不倫の証拠を集めることです。
不倫があったことを証明する為には、不貞行為があった証拠を集める必要があります。
ラブホテルに不倫相手と入っていく写真や、LINE・メールのやりとり、クレジットカードの利用明細などが有力証拠となります。
不倫の証拠があれば、離婚条件を提示しやすくなります。
証拠を集めることが困難な場合は、割り切って興信所に依頼することも1つの方法です。
財産や子供について調べる
離婚には婚姻期間中に夫婦がともに築いた資産を、公平に分配する財産分与があります。
しかし、相手がへそくりや預貯金を隠している場合があります。
離婚の話し合いの前に隠されたり、使われたりするかもしれないので、離婚する前に相手の財産を徹底的に調べておきましょう!
親権、養育費、面会交流権、財産分与など、不倫をされた側に有利になることが多いですが、より良い条件で離婚できるように相手を調べることは大切です。
離婚後の生活
不倫がわかりすぐに離婚に動いてしまうと、離婚後、経済的な問題に直面してしまう方が多いです。
まずは、離婚後の生活を整える準備をしましょう!
住居や仕事先を決め、離婚後も1人で生活できるような状態にしておきます。
また、不倫離婚は精神的にもダメージが大きいです。
家族や友人、カウンセリングなど相談できる場所を作ることも大切になります。
話し合ったことは書面に残す
離婚条件について夫婦で話し合ったことは、必ず書面で残しておきましょう。
離婚協議書は、公正証書で作成することをおすすめします!
慰謝料や養育費など、金銭の給付について公正証書で作成し、その内容の中に「約束のお金を支払わない場合は強制執行されても異議がない」旨の文言を記載しておきましょう。
すると、支払いが滞った時に、直ちに差押えすることができます。
この点をしっかり押さえて、有利に離婚を進めていきましょう!
不倫離婚の原因となった相手への対応方法
不倫離婚の代償をパートナーに払わせるだけでなく、不倫相手にも罪を償ってもらいましょう。
次に、不倫相手への対応方法を徹底解説します!
共同不法行為とみなす
不倫相手にも民事上の責任を問うことができます。
法律上で「共同不法行為」、つまり違法な行為を配偶者とその不倫相手が共同でしたという扱いになります。
損害賠償請求として、不倫相手に慰謝料を請求することができるのです!
慰謝料を請求する
不倫された場合、不倫相手にも慰謝料をきっちり請求しましょう。
しかし、慰謝料の支払いにおいてトラブルの元になりやすいのが「求償権」と呼ばれるものです。
求償権とは慰謝料を支払う義務は不倫相手だけではなく、配偶者にもあるという責任です。
離婚しない場合、不倫相手から求償権を行使されると自分の配偶者にも慰謝料の半分程度の負担がかかることになってしまいます。
離婚はしないけど慰謝料を不倫相手に請求するという場合は注意しましょう!
内容証明郵便を送る
内容証明とは、不倫を理由にした慰謝料の支払いや交際中止を求める文書を日本郵便株式会社が証明してくれる制度のことです。
内容証明を送ることで慰謝料請求をした証拠を残せたり、不倫相手にプレッシャーを与えることができます。
しかし、内容証明を送ったからといって、受け取った側に何らかの法的な義務が発生することはありません。
法的な義務がないことから不倫相手から無視されたり、慰謝料を拒まれてしまうことも多々あります。
その場合、離婚調停や裁判を検討することになるでしょう。
不倫で離婚するの場合の慰謝料
配偶者や不倫相手に慰謝料を請求するにあたり、慰謝料はいくらぐらい貰えるのか気になりますよね。
慰謝料の金額に明確な基準はなく、事情や状況を考慮した上で決まります。
不倫で離婚する慰謝料の相場や、慰謝料を決めるポイントを徹底解説します!
慰謝料相場
不倫が原因で離婚になった場合の慰謝料の相場は、およそ100万円~300万円です。
金額の幅が大きいですが、不倫による損害や様々な状況により金額は変わってきます。
不倫が原因の慰謝料の相場(目安) | |
離婚せず夫婦関係を続けていく場合 | 数十万~100万円程度 |
不倫が原因で離婚した場合 | 100万円~300万円程度 |
慰謝料を決めるポイント
慰謝料の金額は、婚姻期間や不倫の内容、夫婦関係や子供の有無など、様々な状況により変わってきます。
慰謝料を決める時のポイントを徹底解説します。
慰謝料の金額に影響を与える要因 | 慰謝料の増額 | 慰謝料の減額 |
不倫が発覚する前の婚姻生活 | 夫婦仲が円満 | 夫婦仲が悪い |
婚姻期間 | 婚姻期間が長い | 婚姻期間が短い |
不倫を認めているかの有無 | 認めていない | 認めている |
不倫期 | 期間が長い | 期間が短い・1度きり |
不倫の主導権 | 不倫相手 | 配偶者 |
反省や謝罪の有無 | 反省や謝罪なし | 反省や謝罪あり |
不倫相手が既婚者と認識していたかの有無 | 既婚者と認識していた | 既婚者と知らなかった |
夫婦間の子どもの有無 | 子どもがいる | 子どもがいない |
あまりに高額な慰謝料はNG
不倫離婚に対して慰謝料の金額に決まりはありませんが、あまりにも高額な慰謝料を請求することはおすすめしません。
配偶者や不倫相手が経済的にあまり余裕がない場合、支払い能力がないため話し合いや裁判が長引くだけです。
離婚までの期間が長引くと、何度も話し合いをしたり、裁判所に足を運ばなくてはいけなくなるので精神的にも辛くなってしまいます。
慰謝料は弁護士など専門の方に相談して決めましょう。
円滑で後悔のない不倫離婚を
不倫されることはとても辛く、精神的にも大きなダメージを受けます。
しかし、感情のまま相手にぶつけても何も得ることはできません。
離婚後の人生をより豊かにする為にも、事前の準備や配偶者、不倫相手への対応、慰謝料請求など不倫離婚のポイントを知り、円滑で後悔のないようにしましょう!
きっとあなたの大きな一歩が、次の幸せへと導いてくれるはずです。